お役立ち情報

第6回「書籍からの知見」

 『下山の思想』は作家五木寛之の著書です。一昔前には山ガールブームで登山人口が急増しました。今ではシニアに引き継がれ変わらない山ブームです。一方で遭難件数が増え続けています。私も低山や里山歩きが好きなので、さしずめ里山ジーでしょうか。以前住んでいた八王子では、近いので高尾山によく行きました。標高599mですが決して侮れません。毎年登山事故が起きています。たとえ低い山でも頂上に着いたら、そのあとは下山が待っています。無事帰り着いてはじめて、山行きの全行程が完了したと言えます。

 無事な下山があるからこそ、次回の楽しみに思いを馳せることができます。経済においても、もはや右肩上がりの成長は望めず、これまで登ってきた山からの下山を見据える時代になっています。停滞や下降というとマイナスのイメージが付きまといますが、下山は新たな山へのスタートであるという世界観を本書は提示しています。企業再生やライフステージを考える時、成長というこれまでの価値観にとらわれず、成熟という新たな視点を持つことが求められています。

 下山の過程に留意することは勿論ですが、企業活動では次なる登山を見据えた検討も必須です。その対応として「シグモイド・カーブによる解法」が、チャールズ・ハンディ著『パラドックスの世界』で論じられています。氏はイギリス出身の世界的な経営学者(というより経営哲学者)で、本書は具体的な方法論ではなく、意識改革を促す内容と捉えられます。

 山に上らなければ次が見えないが、一方では山に上ってしまえばあとは下るだけです。ピークの前にいかに第二のカーブに乗り移るか、これが重要なポイントとなるでしょう。なお、本書のパラドックスの意味は、「成功したと思ったことが本当は失敗であった」というどんでん返しはあちらこちらに隠れており、価値基準の多様性を念頭において何事ももう一度良く考えたほうが良いですよという示唆と捉えられます。経済成長一途もその一つかもしれません。

(三宅幹雄)

第5回「映像の記録・活用の課題と解決策(1)」

 カメラの高機能化や低価格化・コンパクト化は著しく、スマホ撮影やSNS、セキュリティ、ドローン搭載など多様な用途にも使われています。また映像情報のAI分析も人の判別や安全確認、動作検知、欠陥検査など活用事例が広がりつつあります。

一方ではカメラ映像を実際に活用する際には多くの課題があるようです。例えば、

・映像はデータ量が多いのでWi-Fiや通信に大きな負荷となる

・カメラが多い場合や保管期間が長いとデータ保存に大容量サーバーの準備が必要

・後で必要な映像の探し出しや確認する作業が簡単でない

・機器の構築や保守に知識を持った要員が必要

などが考えられます。

カメラ映像の精細度が上がるほど通信負荷が増え、Wi-Fiが繋がらなくなり肝心の映像が送れなかったり通信コストが高くなることもあります。その為使われていないセキュリティカメラが随分あるようです。

映像の容易な活用と保存や管理なども課題です。カメラ企業は製品を販売しAIサービス会社は分析結果を提供しますが、実際の現場改善や事業に活かすことは自社でシステム構築と管理・保守を行うか、高価なシステムベンダーに依頼することになります。クラウドでビデオ映像を安価で確実に保存し必要に応じて活用出来れば一層の活用が考えられますが、意外と商用サービスとして提供しているところは少ないようです。

株式会社A-Digitalが提供するCHIPSはその商用サービスの一例です。オンラインゲームで使われる通信量削減と高速化の機能で安価に映像を送信し、Wi-Fiや通信ダウンでも映像録画が途切れない仕組みや、無期限蓄積クラウドサービスと活用ツールで利用者は意識せずに多拠点での映像活用や必要部分を切り出して技術伝承・作業実績・異常分析など多様な運用が出来ます。

この様なサービスが広がると、介護施設や子供の見守りなど安心安全インフラとしてもカメラ映像が広がっていくのではと期待しています。

(伊藤俊彦)

第4回「中小企業こそ活用したい補助金」(1)

〜そもそも補助金とは〜

 「補助金について知りたい」や「補助金を活用して新たなことにチャレンジしたい」
中小企業経営者に向けて国の施策である補助金についてわかりやすく説明します。

 現在の中小企業経営者の置かれている環境は、エネルギー高騰や長引くコロナ禍など、将来の予想がつかない不透明な状況下にあります。こんな環境下の中、チャレンジをする事業者を支えるために、国からはさまざまな支援策が出ています。しかし、せっかくの支援策も制度の中身を知らないと活用できません。補助金を活用して新しいことにチャレンジしたい経営者の方に、国の代表的な補助金について解説します。

 第1回目は、「そもそも補助金とは?」を考えていきます。

 ここで説明する補助金は、中小企業者が行う設備投資のための資金調達の一つの手段です。中小企業の資金調達は自己資金や金融機関からの借入金が一般的ですが、行政の支援策としての補助金がなんと言っても有利です。補助金は借入や融資と異なり返済の不要なお金です。特に国の支援する補助金は、金額として50万円から1億円までその目的ごとに多彩なバリエーションがあります。

 そして、補助金は補助事業に必要な投資額全額をもらえるわけではなく、補助率が決まっていて1/2から2/3、3/4まで支援対象と目的ごとに定められています。また、緊急事態のため単発で支援するケースもありますが、数年から数十年にわたって同じ名前・趣旨で継続的に支援されるケースが多い。

 「評判のいい」あるいは「支援効果が高い」補助金制度は継続される傾向にあります。

 国は「やる気のある」、「計画的に事業を遂行する」、「チャレンジ精神の高い」経営者を育てようと、アベノミクスで取り残された「成長戦略」、「新市場の創造」が根底にあります。これらの大方針とは別に、年度ごとに中心となる施策・キーワードがあり、最近では「DX推進」「賃金アップ」「グリーン戦略」が新しいキーワードになっています。補助金を得る第一歩は、このあたりをしっかりと把握することが重要です。

 次回、「国は何のために補助金に予算をつけるか?」について解説します。補助金獲得のためには、この施策目的をしっかり理解することが重要になります。
 

(大柳規幸)

技術士、中小企業診断士、「おおやなぎ経営研究所」代表、専門分野:設備投資計画事業計画・経営革新計画等の策定、各種補助金申支援。

URL:https://grandsaule.com/wp/

第3回「サービスとホスピタリティ」

 技術士は専門サービス業です。モノと違ってサービスは見えないため、その良さをお客様に事前に知っていただくことが難しく、試しに使用していただくこともできません。いきなり本番ですから、お客様の期待に沿うかどうかは結果次第ということになります。しかし、その期待も事前に予知することは難しく、評価も曖昧になってしまいます。

 ここで、サービスで評価されるものは何かを考えてみると「成果」と「感動」という整理ができます。成果は知性に立脚したサービスの進め方と達成度、もう一方の感動は理性に立脚したマインドでの対応となります。コンサルの成果として大きな目標達成が得られたとしても、この技術士には二度と頼みたくないと思われたら失敗です。この二つの評価対象が共に良い評価を受けると、高い顧客満足が実現され再度声がかかります。

 マインドについてもう少し踏み込むと「ホスピタリティ」という言葉に繋がります。一般には「おもてなしの心」という側面で認識されていますが、サービス全般に広く関わる概念で、「お客様に満足していただくためにはどうあったら良いか」をお客様の立場で考えることといえるでしょう。感動するサービスを実現するために、弛まぬ切磋琢磨が求められます。

 書籍離れに加えeBookの普及や新型コロナウイルス禍での環境変化により、店舗閉鎖等で売上・利益とも苦戦を強いられているブックオフですが、以前のブックオフでの出来事です。100円コーナーに置いてある本を購入しようと手に取ってみると800円の値札が付いていました。近くにいた店員さんに置き場が違うのか、値札が違うのかを確認したところ、即座に『お客様のメリットになる方で値札を変えさせていただきます』と返答いただきました。その書名は「ホスピタリティ」でした。

(三宅幹雄)

第2回「効果的なCPD(専門技術継続研鑽)」

 技術に関連した専門業務は、常に新しい知見や先端知識・活用事例を取り入れていく必要があります。さらにデジタル技術やそれにより広がる新しいサービスやビジネスモデルの変化を取り込んでいかないと最適な提案や顧客への支援が出来ません。

 特に技術士は最高の技術者国家資格で継続的な技術研鑽が必須であり、2021年9月の「文部科学省省令改正に基づく技術士CPD活動実績の管理及び活用制度」では研鑽時間は250時間/5年(内コンプライアンスや法令の順守に関して5時間/5年以上)が求められています。これらは意欲的に取り組まないと達成は困難です。(CPD: Continuing Professional Development)

 東京技術士会では多様な分野の専門家会員が幅広い知見を有し、定期的に講演、執筆、発表など会員が新たな知見や技術を取り入れ継続的に技術能力を開発する多様な研鑽機会があります。例えば、最近の勉強会テーマとして、

・中小企業のIT活用(自社のIT現状と活用方法)

・知的財産関連の最近のトピックス(特許出願非公開制度)

・リカレント教育としてのMOT取得

・中小企業のDXによる経営力向上

・技術士としてのコンプライアンス遵守

・金属3Dプリンターの技術動向

・ドローンの産業活用と最新事情

などがあり、ホームページで映像録画を見ることもできます。

 またCPD活動実績認証を国から受けることで「技術士の専門知識や技術力、高い倫理観」と言った資質能力を客観的に示すことも可能です。継続的な技術研鑽の意欲ある技術士には、是非このような研鑽機会に参画していただければと期待しています。

(伊藤俊彦)

第1回「ホームページリニューアルの裏側」

 東京技術士会では昨年、対外向けの新ホームページを公開しました。会の発足以来のホームページは会員情報や公開資料共有が中心であり、内容も技術論やシーズが多く企業や自治体の皆様には難しく感じられてしまっていました。

 東京技術士会は企業や学術界で長年の経験・実績を持った技術士達が科学技術の向上と社会の発展に貢献すべく設立されました。

 会には建築・機械・電気電子・総合技術監理など14の分野の専門家が100人超参加しています。個人で技術サービスを推進したり企業や公的機関で業務を行う一方、得意分野の専門家がグループとして技術課題解決、新技術開発や教育支援等、様々な活動を行っています。

 「技術士」は最高の技術者国家資格で様々な分野で経験・ノウハウ・専門技術を活かし社会に貢献するとともに、経営や生産改革、技術セミナーや論文発表、技術や品質の評価、など多様な機会でその経験や専門性を発揮しています。一方で技術者であるが故に自己の技術や専門性、ノウハウなどのPRは苦手です。そもそも「技術士」の認知度が低く自治体や企業でも広く知られているとは言えません。

 新ホームページでは「どんな専門技術、何が出来るか」から「閲覧された方々にとってどんなサービスを提供してもらえるか」という視点に注視し、皆様により理解して頂けるよう改善していきます。

 また、会員技術者は自分達では意識しないが、企業の経営者や運営者、自治体の方、技術者にとって役立つノウハウや情報・経験を随分持っています。それを「お役に立ち情報」として併せて掲載することで、皆様のお役に立てていただければ幸いです。

(企画委員長 伊藤俊彦)

東京技術士会にお任せください

一般社団法人東京技術士会では、国家資格を有する技術士集団が、企業の技術・経営課題の対応を支援します。

  • 事業計画の策定、補助金申請支援、デジタル活用、海外展開、人財育成等について相談したい
  • 製品の開発、生産性の向上、品質改善、ISO・BCP対応等について相談したい
  • 自治体様から技術評価、監査・調査、環境対策等について協力して欲しい
  • 金融機関様からお客様の技術・経営課題の解決について協力して欲しい
  • 技術士の方から事業開始するノウハウや案件対応策を学びたい

親切、丁寧な対応を心がけております。
上記のようなご相談はもちろん、疑問や悩み事などなんなりとご相談ください。

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